いつも通う海辺の露天風呂で、常連の古老と櫓船の話で盛り上がりました。

このあたりの海で発達した薩摩型と呼ばれる和船です。

もうほとんど使われませんが、かつてはトビウオ漁などに大活躍し、琉球弧を往来しました。

まだ船大工や漕ぎ手が生きているうちに、頃合の地杉を倒すところからこの船を新造し、若者たちを巻き込んで

種子島と屋久島のあいだの早瀬を威勢よく漕ぎ渡るイベントを恒例化しようというのです。

母方の実家が越後の網元だったぼくも、少年時代に櫓漕ぎの快感を味わっています。

一本で推進と舵取りを兼ね、しかも全身の力をテコで増幅する櫓は、

世界の海洋文化でも稀なスグレモノです。櫓船は残さなくちゃいけません。

《#04》 4.Jun.2000 / Jun Hoshikawa