内 雄喜
1948年、東京生まれ
少年時代にハワイ音楽に興味を持ち、15歳の時よりスティール・ギターを始める。大学在学中は大学のハワイアン・クラブでスティール・ギターを弾く。ハワインの中でも、とくにスラック・キー・ギターの素朴な味わいに惹かれ、この奏法に独学で挑戦。
大学卒業後、ハワイに渡り、レイ・カーネ氏に師事する。カーネ氏の他、ギャビー・パヒヌイやサニー・チリンワースとの共演もある。
帰国後1975年にパイナップル・シュガーを結成。1977年、日本人として初めてハワイ放送のラジオ・KCCNのプログラム"Honolulu Skylark"に出演し、演奏する。1978年には「パイナップル・シュガー・ハワイン・バンドVol.1」をリリースし、本格的なスラック・キースタイルを紹介した。また同年、本邦初のスラック・キー・ギターの教則本「ギター変則チューニング奏法」を出版。1979年にポリドールよりLP「虹のアロハ・スピリット」をリリース。
1996年には師匠であるレイ・カーネと共に、東京でステージに立った。
真のアロハ・スピリットを追求しながら、ライブ活動や、コンサート活動を続けている。
また、サンディーやネーネーズ、島幸子のアルバムにも参加、レコード解説等の執筆もおこなっており、現在ギャビー・パヒヌイの伝記を執筆中。 ハワイ音楽に関する世界的なコレクターの一人でもある。
(山内のウクレレが聞こえる)

【油井】いやぁあのもう聞こえてて困るんですけど・・・
【長井】最高のBGMですね。
【油井】っていうかぁやばいよ。ハワイ好きのオレとしてはこの状況は・・・
今日のゲスト、今ウクレレが聞こえてますが、スラック・キー・ギターの、まぁスティールギターも演奏されるんですが・・・あぁいいねぇハワイアン・ミュージック・・・その道を極めているアーティストの山内雄喜さんです。Aloha !
【山内】Alo~ha everybody!
【油井】あのぉ早速ですが、スラック・キー・チューニングっていうのは、よくDチューニングとか言うじゃないですか。
【山内】はいはい、それ分かりにくいでしょ。例えば、ハワイにメキシカン・カウボーイ・・・ご存じのように牧場があるじゃないですか。ハワイ島の方にね。
【油井】モロカイにもあるしね。アメリカで一番デカいんだよね。
【山内】当然牛がいるという事は、カウボーイがいる。カウボーイはメキシコというかね、向こうから呼んだ訳ですよね。ヒスパニック系は好きじゃないですかギターが。
【油井】パニヨロ?
【山内】そうそう要するにパニヨロ系ですよね。で、ギターをハワイに持ち込んで、それでそのまま仕事終わって帰っちゃった訳ですよ。で、ギターだけ残って・・・チューニングとか弾き方一切・・・ほらハワイの人だから・・・
【油井】あぁそれ伝説として本で読んだけど、その通りなんだ。
要するにチューンもしないで放ってあったのをボロンと弾いて、それで始めちゃったという。
【山内】そうそうその「ボロン」というのをそれぞれ始めたから、メチャメチャに合わせたんですよチューニングを。だから解放弦でハーモニーになるようにみんな考えたんです。ギターやってる人なら分かるように、要するにスタンダード・チューニングと言われてるのあるんですよ特別な(笑)スペイン系の人が考えた。あれはホントは機械的なチューニングなんです。ハーモニーで並んでる方が自然ですよね。
【油井】そりゃそうですよね。
【山内】でそれを(みんなが勝手に)ばらばらに始めて、例えば油井チューニングっていうね・・・名前を考えたの。だから太郎さんチューニングとかいっぱいある訳。
【油井】(笑)いいんだ!。その人がそれで弾く・・・
【山内】山内チューニングっていうの考えて、それで弾いてったんです。
【油井】だからスラック・キーって何なのよ?って聞いても、ひとつを言えないんだ。
【山内】その家家のチューニングがあるから。
【長井】一概にこれっていうのはない?
【山内】そう、それだけいっぱいあるっていう事ですね。自由に出来るのがスラック・キー・ギターっていう・・・ギターは何の種類でもいんですよ。
【油井】要するに6弦の・・・
【山内】ウクレレでもいいし
【油井】4弦でもいい。
【山内】要するに開放弦で弾いた時に気持ちいい音。
【油井】それでオサエ方によってCにもなるし何にもなりますもんね。
【山内】あんまりおさえないで、弾けるっていうのがいんですよこれ。
【油井】それでボトルネックみたいなもんでヒューンとやって・・・フレット変えていけば・・・
【山内】ボトルネックっていうのはブルース系の人なんですけど、それを膝の上に置いたのがハワイなんですよ。ハワイアンギターとかスティールギターという・・・
【油井】あのウイ〜ン〜ハワイですぅっていう(笑)
【山内】そういうとこに発展する訳です。
スラック・キー・ギターっていうのがあってスティールギターが発案された訳です。
【油井】オレもハワイ好きで良く行くじゃないですか。ハワイ独特の空気ってあるの。何が一番凄いというと「適当」なんですよ。
【長井】(笑)テキトーなところが・・・
【山内】スラッキーは正しくテキトーなんですよ。それがいんですよ。「スラック」ってゆるむっていう事だから。「キー」っていうのは「調子」ですから。調子をゆるめる・・・もうだら〜んとゆるめて貰う・・・あのテキトー?いい加減?
【長井】解放されるし、ストレスもたまらない。
【山内】人に一生懸命弾いて聞かせようとすると、どっかプレッシャーかかるでしょ。そうじゃなくて自分で弾いて自分で楽しむんですよ。それがハワイの音楽だから。堅くなんないでリラックスして下さいよ。だら〜ん
【油井】デレ〜ン・・・波の音・・・
【山内】そういう事ですよ。
Holoholo Slack Key」というアルバムから「.Haleakala」を聞いて

RAY KANE & YUKI ALANI YAMAUCHI/Holoholo Slack Key
2000/07/05発売 価格: \2700
詳細はリスペクトレコード【TEL:03-3746-2503】
または
http://www.alani-sons.com/
【油井】・・・ハワイでしょう。「ハレヤカラ」は何曲目?
【長井】エート14曲目。
【山内】だいたいそこまで聴けますかねこれ。
みんな途中で眠くなって寝るとかね(笑)
【長井】なごむとか他にいい方が(笑)
【山内】あのね、寝て貰うっていうのいんですよ。このCD聴いてゆっくり寝て貰う・・・
【油井】でも途中でフッと目が覚めると14曲目ぐらいなんだよね(笑)
【山内】14曲目の感じしなかったりしてね、あっまだ2曲目だ!はっはっは。
【油井】そうおっしゃる山内さんと、レイ・カネさん?
【山内】そうです、私のお師匠さん(と共演)ですね。もう御年76歳という・・・ハワイでは最長老のスラック・キー・プレイヤーなんですよ。もう国民栄誉賞的なもう。
【油井】そうですか。
【山内】師弟関係で恩返しのつもりで。なんかタイトルの「ホロホロ」って・・・ハワイ語講座じゃないんですけど・・・なんかいい感じしません?
【長井】どういう意味なんです?
【山内】よく聞いてくれました。
【油井】今、そっちに持っててるクセに(笑)
【山内】ハワイではよく使うんですけど、犬の散歩なんかに。犬に「ほろほろ行くよ」お散歩行くっていう・・・take a walk!
【油井】Taleはどれホロ?(笑)
【山内】なんのホローにもなってないっていう・・・
【油井】ここんとこウクレレっていうのはブームっていっていいかわかんないけど。
【山内】売れてるみたいですよ。「山内さん、ハワイ行ってウクレレ買ってきて下さい」っていわれて、で、その工場行ったら今ないんですって。「どこで買えるんですか?」っていったら「日本にあります!」(笑)なんだか困っちゃいますが、そのくらいブームらしいですよ。
【油井】ウクレレにも色々種類がある・・・今お持ち頂いたのは?
【山内】今日は真ん中ですね。一番小さいのがスタンダードていうよくみなさん見かけるやつ。
【油井】音が高い?
【山内】そうですね。その次がコンサート。ちょっとそれより大ぶりのやつ。
今日持ってきたのはテナーっていう真ん中の機種。これとあと一番大きいのがバリトン。
【長井】その大きさというのは弾く人の体の大きさとかに関係が?
【山内】それもありますね。
【長井】私はやっぱり一番小さい・・・
【山内】】そうですね、ソプラノが似合いますね。でパイナップル型とかいろいろカタチがあるんですけど。
【油井】要するに、共鳴箱の大きさだから、大きくなると低い・・・
【山内】そうですそうです。
【油井】これは僕らが知ってるウクレレよりもちょっと大きい・・・
【山内】そうですね。
【油井】それで、えぐれてますね、かたっぽが。
【山内】カッタウエイになってるんですけど。
【油井】そこは休む時に手を乗せるとか・・・
【山内】手を置くのに便利なんですよね、ホントに(笑)
【油井】ちょっと聞かせてくれますか?
【山内】(弾き始める)飽きたら「やめて!」って言って下さい(笑)これがハワイのいいとこで。
ビーチなんか行く時、ウクレレ持ってくといんですよ。すぐ友達になれる。不思議なもんですよ、ウクレレ弾いてると寄って来るんです。

(スラック・キー・スタイルのウクレレを披露)
【長井】私まったくわからないんですが、私みたいなものが1から始めるにはどうしたらいいんですか?
【山内】まずウクレレを持ってもらう(笑)
【長井】山内さん教室とかはやってらっしゃらないんですか?
【山内】教室はやってないんですけどね。でもハワイから「アロハ」という気持ちを沢山頂いたので、さっきのレイ・カーネもそうですが、凄い可愛がってもらって・・・その恩返しをしたいなっていうのが今ありましたね。だから来る人はいつも拒まず。ハワイのいい所を私なんか微力だけど紹介出来たらいいなと思ってるだけなんですけど。ウクレレなんか是非やってほしいと思いますね。
【油井】まぁハワイっていうとオアフ島にみんな観光に行くことが多いだろうけど、オアフ島は少し都会になりすぎちゃったけど、ちょっと田舎行くと・・・カウアイだとか、モロカイだとか、ラナイだとか行くとホントに昔の「アロハ」の感じがね・・・みんなとにかく受け入れてくれちゃうの。性善説なの。
【山内】あたたかいですよね。
【油井】何聞いても一生懸命・・・家族みたい、初めて会った時から。
【山内】日本ってもうタイトな感じになっちゃってるでしょ。だからそう言う人がハワイにいくと同化して馴染むんですよ。あの気持ちが日本でもちょっとあるといいなという。
【油井】そういうのに確かに音楽は役に立ちますよね。
【山内】一番いんじゃないですかね、言葉いらないですもんね。
【油井】勿論ウクレレの演奏もそうだし、歌い方もそうだし・・・だんだんやってくうちにハワイの感じって分かるかも知れないね。
【山内】ウクレレなんか、だからあんまり上手くならないほうがいいんですよ。
【長井】自分が楽しむのが一番?
【山内】そうそう、そうするとみんな楽しめるから。上手くなるとついワイキキ出てやろう!とかね、いやラスベガス!とか(笑)
【油井】(爆笑)
【山内】ウクレレでカーネギーホールだなんて!目指してしまうんでね(笑)
【油井】山内さんは、聞くところによると「コンニャク」を作っておられる?
【山内】それもやってます。これは私2代目半なんですけど、オヤジの代からやってます。
【油井】コンニャク屋さんの御曹司ね(笑)それでハワイに行かれたんですか?
【山内】大学出てから行きましたね。「ハワイが呼んでる!」って、なんかその頃思ってて・・・声が聞こえたんですよ。で、いってしまいましたね。
【長井】冬はほとんど日本にいらっしゃって、夏・・・
【山内】いえレコーディングが・・・夏出すんで、冬に行くんですよハワイに。
【油井】ああそうか。日本の冬に行く。
【山内】6月7月にリリースするじゃないですか。だから冬場の寒い時にハワイに行ってレコーディングしてるんですよ。
【油井】雨期ですね、ほとんど。
【山内】そうですね。でも安い(航空運賃が)じゃないですか(笑)

【油井】あっはっは・・・もう楽しくて、曲もうれしくて・・・もう終わらなくては・・・
【山内】じゃぁトゥービーコンティニュー!またいつか!
【油井】今度は是非ウクレレ講座を
【山内】いいですね、やりましょうかね。
初対面でも人を引き入れてしまう、まったく嫌みのないパワーと
底抜けの陽気さは、やっぱりハワイアン?
アロハのスピリッツを感じられずにはいられませんね。
この人に会うと誰でもハワイに行きたくなるのではないでしょうか。
長井律子 + 油井昌由樹 + 山内雄喜さん