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Tsugumi(from TINGARA) | |||||||
998年秋、東京で結成。沖縄のトラディショナル・ミュージックをベースに、 南島に降りそそぐ星々のようなやさしさと透明感にあふれる音楽創りを展開。 TINGARAとは、沖縄で「天河原」すなわち「天の川」を意味する言葉。街の明かりにかき消されてなかなか見ることができなくなった天の川も、毎晩変わらぬ姿でこの空に昇っています。ぜひTINGARAを聴いて、忘れかけているやさしさやロマンを思い出して、感じてください。 |
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【油井】どうも初めてお目にかかります・・・も〜素敵! 【Tugumi】(笑)ありがとうございます。 【油井】実は、先月か先々月ぐらいに(初めて)CD聴かせて頂いたんですよ。 もうあの透明感というか心地よさがね、なんだオレの為にこのCDあったんだって・・ それで、もう翌日には是非ゲストにお招きしたいと・・・(笑) では、まず一曲聴いて貰いましょうかね。 |
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【油井】ねぇ、いやもうこれたまらんでしょ。 【長井】Tugumiさんの透き通った声、本当に私をリラックスさせてくれます。この言葉は? 【Tugumi】 これ「うちなぐち」っていう沖縄の方言なんですけども、私は民謡の歌い方とか全然勉強した事ないんですよ、そういう環境にいなかったんですけども。 【油井】 沖縄語っというかそういう方言は普段使われないでしょうけど、それと関係ない訳じゃないよね。自然と沖縄の香りっていうか、ムードっていうか、南の感じがありますもんね。 【長井】 (ユニットの中で)Tugumiさんだけが沖縄のご出身で、他のメンバーの方は東京と横浜出身なんですよね。どうやって3人は出会ったんですか? 【Tugumi】3、4年前になるんですけれど東京で開かれた沖縄の版画家の名嘉睦稔さんの展覧会で偶然知り合ったんですよ。 【油井】偶然知り合った? 【Tugumi】 それぞれがなんらかのカタチで展覧会に関わっていて、私はただの観客だったんです。 【油井】要するに三線を弾かれる大島さんと石島さんが名嘉睦稔さんをお手伝いしてた・・・ 【Tugumi】 そうですね、ちょっとした関係がありまして、それぞれに。 私は睦稔さんをよく存じ上げていたんですが、展覧会が東京で開かれるっていうんで見に行って、そこに来ていた二人と出会って、それから音楽の話をするようになって、こういう事になったんです。 【長井】 Tingaraは今日いらしていただいたTugumiさんがボーカル。そして三線に大島さん。そしてプログラミングの石島さんの三人グループです。 |
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【油井】 名嘉睦稔さんは僕も一度ちょっとお目にかかっただけなんですけど、作品はよく存知あげてるんですよ。 あの人の、凄いよね、あの版画の彫り方・・・どうかしてるよね(笑) 「畳なん畳敷き」みたいな作品があるのね。で、まず墨でとりあえず紙に書かれたやつを、おそらくベニヤ板だとおもうんだけど、そこに張り付けて、それでもう一刀彫りだよねぇ。彫刻刀のお化けみたいなやつがあるんだよ。それでガガガガガガガッ!と(笑)オレあんな事したら手中トゲだらけになるような(笑)で、やってるうちにね沖縄の神様が出現するんだ。いいのよ、力強くてさ。 バランスもいいし、それが立ち上がると、あんぐり口あけちゃうような・・・(笑) |
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【長井】 一曲目は睦稔さんと一緒に作られたという事ですが・・・ 【Tugumi】 そうですコラボレーションなんですよ。 【長井】 アルバムのジャケットの絵もそうなんですね。 【油井】 ジャケットも必見ですからね、みなさん是非手にとって・・・買う買わないはおまかせしますが(笑) ・・・これ、聴くところによると、満天の空の下で即興で作ったという・・・ 【Tugumi】 そうなんです、沖縄では宴会でよく、即興で歌を作ったりする遊びがあるんです。 【油井】 あるよね、誰かが知らない歌を歌っていて、誰も知らない歌の筈なんだけど、つなげて次を歌っていくという・・・ 【Tugumi】 そうです、ああいう遊びを昔は盛んにやってたんですよ。今はそういう事する人、ほとんどいなくなっちゃったんですけど。睦稔さんはまだそれが残っている・・・(笑) |
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〜沖縄の即興音楽について〜
トゥバラーマ |
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【長井】(部屋に)こもって一生懸命作る曲とそういう環境で作る曲とか芸術だとか・・・全然違うんじゃないですかね。 【Tugumi】そうですね。 【油井】 それでさ、睦稔さん最高なのは自然の中というか、大きな木だとか海だとかを前にすると芸術なんか自分が作る必要がないよっていうんだね。もうあるじゃないかって。そう思ってもういいやって思って、なんかの拍子に部屋にはいってふっと思うと、むらむらと創作意欲がわくんだって・・・それでガ〜ッと彫る(笑) この曲にしても詩にしてもそういう感じが内包されてるんだろうね。 琉球の考え方って受け入れる文化でさ、みんなと仲良くするんだよ。それも迎合するんではなくて本当に歓迎する訳。中国も歓迎するし、フィリピン、東南アジアも歓迎するし、日本も歓迎するしさ。 【長井】様々な文化が詰まっているという・・・。 【油井】 で、なおかつ沖縄独特のねTugumiさんの声にも洗われているようなね・・・だからこころのふるさとだって言いたくなっちゃう・・・もう一曲聴いてみますか。 【Tugumi】《恋いの花》くいのはな聴いて下さい。恋を「くい」っと読むんです。 |
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【油井】 最初のところで意味がわからないっていうか・・・そんな歌詞が出てきましたが・・・なんとなく耳ではハワイだったりタヒチだったりソロモンだったりの原住民たちがしゃべってるのか歌ってるのかみたいな・・・そういう音に聞こえるね。 【Tugumi】 あれは「おもろ」っていう沖縄の古い歌っていうんでしょうかね 【油井】民謡みたいな? 【Tugumi】民謡よりも古い。 【油井】なんか、海洋民族の感じっていうのあるのかな 【Tugumi】神話の世界の歌なんですよその部分は。だから今おっしゃってる神歌というか 【油井】業界用語でいうとフックしてるっていうかツカミがいいよね(笑) 【長井】・・・深いですよね。 このアルバム聴いた時、最初は歌詞がわからなくて、もっと深く知りたいという事で歌詞カード開くじゃないですか、それでまたこういう風にお話し聴いて、ますます奥が深いです。 |
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※おもろ
5〜6世紀から15世紀頃にかけて奄美・沖縄諸島で歌われた最古の歌謡を『おもろ』と呼ぶが、16〜7世紀に首里王府が『おもろ』を編纂したものが『おもろさうし』である。「沖縄の万葉集」とも言われるが、神様や太陽、英雄等を讃えた祝歌で、恋の歌は皆無である。未だ解明されていない言葉、意味が少なからず残されている。 |
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【油井】 さっきから沖縄、沖縄って話してるけどさTingaraは単に沖縄っていうのとちょっと違うよね。 そのヘン意識されてる? 【Tugumi】 あの最初から沖縄をやろうっていう意識はないんですよ。世界中の美しい旋律というか言葉とか、いい音楽を作りたいっていう気が強くて、で睦稔さんの展覧会用に作ったのが沖縄をちょっとアレンジしたものだったんですね。それから「沖縄のものをアレンジしたものを作りたいね」ってだんだん集まってきたんで、じゃカタチにしようっていう事でアルバム作ったんです。 【油井】 僕は沖縄のミュージシャンに友達が多いんですけど、彼らが沖縄を主張しようとしてる曲も沢山あるじゃないですか。沖縄だよ!っていう。そうするとちょっと引いてしまうところが実はあるんだけど、Tingaraを聴いてると沖縄音楽の素敵なところ、エッセンスだけをちゃんと残しているという感じがするよね。 【Tugumi】 楽器の音色も世界中の好きな音というか、ガムランとか色々意識してます。 【長井】レコーディングなんかフワ〜として気持ち良さそうですね。 【Tugumi】 でも録った場所が京橋なんですけどね(笑)でも環境がよくて、睦稔さんの絵に囲まれた場所だったんです。そのなかで気持ちよくなりながら作ってったっていうか 【油井】 そうね、あまり主張しないっていうか、静かなのに心に残るっていうのは、一番強い事だね。 【長井】 私ね、友達のレストランでこれかけたんですよ。それまでは会社の愚痴とか言ってたのが、これかけたら空気が変わったというか、いきなり沖縄の海でバーベキューやりたいよねーって(笑)凄いですね音楽の力って(笑) |
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【油井】東京に住み始めてどのぐらい? 【Tugumi】5年です。 【油井】 それまではズッと那覇ですか。っていう事はこの5年・・・東京にいて沖縄の事を考えるっていうような事ってある? 【Tugumi】 もともとは沖縄から出たかった方なんですよ。沖縄の魅力って言ってもわかってるつもりで、それはいいからもう出たいっていう(笑)で、出てきてみると沖縄で自分が気に掛かっていた事はここにいても変わらなくて、でむしろかえって沖縄とのつながりが出てくるんですよね。自分が沖縄人だと意識する事が多かったりして、で睦稔さんともここに来て深く関わるようになったりして・・・沖縄のみどりとか鳥とか風景というのをここにきてかえって知るようになりました。 で、しょっちゅう2ヶ月に1回は一週間ほど帰ってます(笑) |
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