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2000年6月 アルバム「アンサンブル」 2000年7月 奥田民生 鈴木慶一 宮沢和史 矢野顕子らを集めたコンサート「ビューティフル・ソングス」に参加。 2000年10月18日: そのライブ盤「ライブ・ビューティフルソングス」をリリース。 2000年10月25日にシングル「ただ」をリリース。 |
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【油井】こないだね、あの、ある雑誌の取材でお目にかかったんですよね。 【大貫】はい 【油井】久しぶりに、 【大貫】そうです、はい。ご無沙汰していまして。 【油井】今日はじっくりお話を伺おうと思いましてお越し頂きました。どうもありがとうございます。 【大貫】よろしくお願いします。 【油井】この番組はね、CMの間も波の音がただよっているんですよザバッと(笑) そんなのあんまりないと思うんですけど。オレ実はね妙子ちゃんの曲・・・オレがまだ・・・何年前かなぁ・・・15年ぐらい前にテレビの番組(制作)の仕事をずっとやってて、その時に何度か使わせて頂いたんですよね。それでね、その頃から波っていうと、なんか(大貫さんを)感じちゃうんだよね。そういう意識ある? 【大貫】う〜ん、意識はないけど、なんかわかる気はします。 【油井】で、それからのおつき合いっていうかね、何年になるんですかね? 【大貫】・・・記憶が(笑) 【油井】とにかく10年以上前・・・ 【長井】長いおつき合いなんですね。 |
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【大貫】今の曲(Tada)は「どれだけ無防備になれる相手がいるか・・・自分にとって」っていうのが基本なんですけどね。ま、夫婦でもそうだけど、元は他人じゃないですか。だから親とは違ってなかなか無防備にはなれないというのがありますよね・・・でもまぁ長い間には無防備になっちゃうんだけど・・・でも、単にあけっぴろげの無防備っていうよりは、なんか「ガーッ」といびきかいてお互いに寝てるとか、そういうのではなくて、やっぱりどれだけその人の側にいると「安らげるのか」だったり「安心」出来たり・・・何も話さなくとも、そういう関係があるといいねっていう、そういう歌詞なんですけどね。 | ||||
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【大貫】すべてのものですね。例えば画家でもマチスとか好きだけど、やっぱり血の中になんかないんだよね。
【油井】ああ、それは意味わかるよね。 【大貫】やっぱり日本画になっちゃうんですよ、なんかぐちゅぐちゅするというような感動っていうのは。 【油井】それも凄くわかるけど、オレは若い頃はそうじゃなかった。 【大貫】若い頃は同じ、やっぱり西洋のものがよかった。 【油井】あれなんだろね、あのほら、だんだんわかってくる・・・ていうんじゃなくて 【大貫】洗練が・・・日本画の素晴らしいものって極端に洗練されている。だから生きることって洗練されていく事だと思うんですよ人間が。で、無駄をとってどんどん綺麗にシェイプアップされていくんだと思う、そういう意味でやっぱり若い時はわからないんだと思うんですよ。 【油井】そうなんだよね。で、勿論若い頃に思った外国・・・割合いばたくさいものだったり?結構衝撃に惹かれちゃうじゃない?そうすると最後には、墨をつけた筆でひとすじスッと書いたものの中に、本物を見ちゃったりするようになってくるんだろうね。 【大貫】えぇそうですね。 【油井】そういう事を含めて考えると、例えば言葉っていうのを選んで落として、あのそれこそ山本周五郎・・・好きなんですけど・・・通俗小説を書いているように言うけど、とてもじゃない一行一行をどれだけ苦労して書いてるかわからないくらい捨ててるでしょ言葉を。ついつい居住まいを正して読んでしまうような、なんかそういうのってあるよね。【大貫】でもまぁ60年代からずっと聞いてきて、でも外国(アーティスト)にとっても育ててくれる音楽ってあるじゃないですか、それと別にクラシック音楽ってのがあって。でももう結局新しいテクニックとか・・・テクニックはどんどん向上してるんだけど、楽器の上でのテクニックですよね。そんなものをどんどん駆使しても、もう行き着くところまで来てるんじゃないかっていう気がしてて、そうするとやっぱりクラシックにどんどん自分が戻っていくっていうか。 |
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【油井】楽しいよね。どうしてこのメンバー・・・これ結構何故?って感じあるよね。 【大貫】バラバラですよね(笑)もともとは矢野さんと二人で・・・あのぉ色んな音楽のカタチってあると思うけど、売れるために作るっていうものもあると思うんですよ。だけどそういうものではなくて、こういう曲が書きたいんだっていう・・・自分の為にどうしてもこの曲を書きたいっていう曲を集めたコンサートがあってもいいんじゃないかっていう・・・ 【油井】それはしかし、ある意味理想だよね。それで観客が付いてきてくれて。 【大貫】だから、そういう曲を書いてる人っていう。 【油井】そうだねみんなね。あるほどなるほど。 |
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【大貫】そうですよね。 【油井】特にアフリカもそうだし、野生の地に行くと、アタマん中ではアフリカってだいたいこうだってわかってるけど、実は全然違うっていうのが、山ほど押し寄せてくるよね(笑) 【大貫】だから例えばライオンはこうであるとか、ハイエナはこうであるとか言われてたけども、毎日見てると全然違うんですよ。あんな事もするし、木にも登るし。 【長井】ライオンが木に登る? 【大貫】登りますよ。 【油井】ゾウとかカバがおっかないとかね。想像付かないけどあるんだよな。 【大貫】結局情報っていっぱいあるけど、自分の目で見た情報だけが真実であるっていう気持ちなんですよね。で、都会にいて、飲んだりしながら話す事は、みんな誰かから持ってきた情報って事が多いってことないですか?どっかに書いてあったとか。テレビで見た事とか、でもそんなの違うことかもしれないし、「あの人」の言った事でしょ。それはやっぱり「あなた」の意見ではないじゃない。っていうのが私の気持ち・・・ 【油井】うん、いいねぇ。 【大貫】だからそういう意味では、いろんな経験をなさっている方の・・・別にアウトドアしなくてもいんですけど、例えばなんか作ってる人とか、その人々の気持ちっていうのが自分にとっては生の声で真の情報なんですよ。 |
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【油井】でもまあ、ものを作る作り手のひとりとして、メンドクサイ事が多いじゃないですか、なんかこう要求したことを満足させようと思うと。 【大貫】体力いりますよ。もうホントに!体力が勝負だと思う。でも体力は落ちないように色々やってるんですけど。 【油井】そう? 【大貫】体力落ちると、気力も落ちちゃうんですよね。メンドクサイとか・・・そうなるともう、ほんとに地の果てまでレコーディングに行くなんて出来ないですよ。 【油井】なるほど(笑) 大人の世界がないって最近・・・昔からか、よく耳にするじゃないですか。大人の世界って具体的になんなの?・・・大貫妙子の世界って大人の世界だよね。 【大貫】年齢相応にやっているという意味ではね(笑) 【油井】年齢っていう事じゃなくて、なんかの拍子に「大人の世界」が今ないね、とか「大人の飲み屋」が今ないね、っていう言い方があるでしょ。それって何?っていうと、今度から「大貫妙子の世界あるじゃん」っていうとみんな分かり易いかも知れないよ。 【大貫】(笑)・・・お願いします。 【油井】是非いつまでも、いい歌を沢山聴かせていただきたいと思います。 |
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