面白い仕事ではない。撮影すべき点数は多い。オーストラリアの各地をまわらなくてはいけない。しかし、一冊のなかの写真すべてを自分ひとりで撮影出来るのだから、頼まれ仕事としては手応えはあった。
予定どおり、ひと月でその仕事をこなし、彼は東京へ戻って来た。大量のフィルムを現像し、点検し、誰が見てもわかるよう場所ごとに仕分けする、というような後始末的な作業を終え、フィルムを編集者に渡し、彼は暇になった。〜(書き下ろし)